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「管理職が育たない」本当の理由|人の問題ではなく“構造”の課題だった?!

「管理職が育たない」本当の理由|人の問題ではなく“構造”の課題だった?!

1.「管理職が育たない」は、“構造”の問題

組織づくりのご相談を受ける中で、よく伺う”悩み”があります。

「責任者を置いたはずなのに、チームが動いていない」
「管理職に任せたいが、結局、最終判断は自分がしている」
「個々は育ってきたけれど、組織として“中継点”が機能していない

実は、これらの声は企業規模に関係なく起きていることでもあります。
一体なぜなのでしょうか?

管理職が育たないと感じる悩みーその正体は、管理職を“優秀なプレイヤーの延長”で捉えてしまうことにあります。
そしてこの状況は、個人の力量不足ではなく、管理職になってからの役割の転換に対する組織的な支援の不足から生じているのです。

管理職は「自分が成果を出す役割」ではなく、「”人”を通して成果を生み出す環境をつくる役割」へと変わります。

この”役割転換”に対して、本人、そして組織にも十分な準備がないまま任さてしまうと、管理職は「間に立つ人」ではなく 「板挟みになる人」 になってしまいます。
そして、プレイヤーとして優秀だった人が、そのまま新しい役割を背負い、なかなか上手くいかないケースが多く見受けられます。


2.なぜ今、管理職が“詰まる”のか?

ある調査では、ミドル層の約7割「役割の変化に対する支援が不十分」 と回答しています。
さらには、6割が「相談できる相手がいない」、7割が「負担が過大」と回答しており、現場で起きている問題が、個人の能力や弱さではなく「構造的な孤立」にあることが分かります。
(例:「このチームのリーダーだから、一人で考えるのは当たり前」「あなたは管理職なんだから自分で考えなさい」など)

そして、この状態が続くと、現場では以下のような現象が起こります。

・意思決定を先送りする →→ 組織全体のスピードが落ちる
・「自分でやった方が早い」が続く →→ 部下の成長機会が減る
・役割の認識が曖昧なまま業務が積み上がる →→ 負荷の偏りが進む

管理職が「板挟み」になるのではなく、役割の”進め方”が整っていないために迷い続けているのです。


3.「任せる」を機能させるために必要なこと

任せる・支える・促す。
管理職に求められるこれらの”言動”は、一見どれも「抽象的」に見えますが、実際には”明確な技術”が必要なものです。
そして、その言動の本質をよく理解していないと、現場ではこのようなすれ違いが生じることになります。

・上司の意図「任せているつもり」 →→ 部下が受け取る印象「丸投げされている」
・上司の意図「干渉しないように配慮」 →→ 部下が受け取る印象「しっかり見てくれていない」

そして、この上司ー部下の間で静かに進んだ「すれ違いの蓄積」は、組織全体のスピードと雰囲気に大きく影響してくるのです。

では、具体的にどう改善していけばいいのでしょうか?
これは「仕組みの問題」なのです。だからこそ、再現可能なやり取りの型をつくることが必要になります。


4.現場を変える3つのポイント「対話」「観点」「小さな合意」

まずは、日々の「会話」と「場」の設計を再度整えることが効果的です。
”1on1面談”を例に挙げて、解説していきます。

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・よくある進め方:状況の報告
→育つ組織の進め方:判断の背景を共有する
例:「今回の判断、どういう考えで選んだ?」

・よくある進め方:評価の言い渡し
→育つ組織の進め方:良かった観点・次に意識する観点を短く伝える
例:「なるほど!“優先事項の絞り方”が上手くできているよ。」

・よくある進め方:反省を促す
→育つ組織の進め方:「次に試すこと」の内容を話し合い合意する
例:「次は、”確認のタイミング”を一緒に工夫してみよう。」
••••••••••••••••••••••••••••

つまり・・・ここでポイントとなるのは、結果ではなく“考え方”に光を当てることです。これらの考え方が実践されて強化していくと、現場は自然と自走します。


5.伴走の役割は、“言葉を一緒に作ること”

現場で最も迷いが生まれるのは、制度ではなく「判断軸」にあります。

●部下にどうフィードバックするか

●優先順位をどう伝えるか

●難しい場面で、何と言うのが適切か

弊社のような経営コンサルティング企業が伴走する価値は、これらの“最初の一歩”を一緒に創り出すことにあります。
言葉が整理されると、行動が変わり、関係性が変わり、チームの速度が変わります。
そして、管理職が育つと、現場は落ち着き、判断のスピードは上がり、メンバーは伸びていきます。
つまり、現場の空気は、日々の言葉の積み重ねで作られるのです。

もし今、「会議はしているのに動きが遅い」「人はいるのに、いつも同じ人に負荷が偏る・・」「部下に任せたいのに任せきれない・・」
こういったように感じるなら、それは”人”の問題ではなく、”関わり方の設計”に再現性が必要な状態です。
管理職は努力不足でも、能力不足でもありません。ただ、動かし方を知らないだけです。そして、型は学べます。そしてどんどんと密度高く身に付きます。

整えれば、組織は動き始めます。同じ人で、同じチームで、同じ仕事でも、です。

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●引用
調査結果:mento「ミドルマネージャー実態調査 2024」