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【偉人に学ぶ人材育成】”自ら行動する人”を育てるためのポイント

ちょっとした事の連続が修行となる

人を育てる。これはいつの時代も共通して存在する永遠のテーマです。

人材育成は、自ら行動する主体性に”火を点ける”過程です。
「自ら…」という主体性で行動するかどうかが人材の分岐点です。自ら行動するためには明確な意思が必要ですが、その意思が育っていなければ行動は実践に至りません。実践とは大きなことをすることと考えがちですが、”凡事”にこそ実践の意味があります。

「哲人ヒルティが、人間の真実の正しさは、礼節と同様、小事における行ひに表はれる。小事における正しさは道徳の根底から生ずるのである。略。
偉大な修養と申しますと、どんな奇抜な人間離れした言動をするか等と考へる未だ幼稚な人間が存外多いものです。尋常・日用の工夫に徹するのが本当の大修業であります」

(安岡正篤『朝の論語』明徳出版社)
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安岡正篤 (wikipediaより)

「平成」元号の考案者であり、昭和を代表する数々の財界人に師として尊敬された哲学者・安岡正篤。
上記の言葉では、日々の平凡な行動にその人の思想が明確に表れることを、銘記すべき日常実践の意義を教えています。

「他人の人柄を見て何らかの判断を下そうという場合は、その言うこと為すことの細かい表れ方を観察する必要がある。よく企んだうえでのことではない、何気ない言葉の端々や動作の一ふしを見るのである」

(小堀桂一郎訳『森鵰外の「智恵袋」』講談社学術文庫)
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森鴎外 (©小学館ライブラリー)

文豪であり医学博士としても名高い森鵰外。
上記は、彼が後人のために処世の道を知恵として記した名著です。ここでも日常の言葉の一つひとつにまで人間の考えが表れているということを教えていますが、実践は正にこの点にあります。人材育成は、人材の日常の小さな行動性を正しく導いていく意義を持つことが分かります。

小さな善いことが徳をもたらす

「真に大志有る者は、克(よ)く小物を勤め、
真に遠慮有る者は、細事を忽(ゆるがせ)にせず」

(佐藤一斎『言志録』講談社学術文庫)
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佐藤一斎 (wikipediaより)
以下参照:http://ejiten.javea.or.jp/content71fa.html

江戸後期の儒学者の佐藤一斎。70歳にして公的な学問・教育機関のトップである昌平坂学問所の儒官となり、88歳にて没するまで知力・気力の衰えることなく、同所の学問と教育を主宰した人物。
彼の名著『言志四録』歴史的な影響として、西郷隆盛を始め多くの明治維新を実現した幕末の志士たちに愛誦されました。

ここでは、真に大きな志を持っているものは小さなことも疎かにせずに励み、真に遠大な考えを持っているものは些細なこともゆるがせにしない。
日常の実践に成長の成果が表れます。

では、その実践は何を目指して行うのでしょうか。
星野リゾート創業者・星野嘉助氏も大きな影響を受けて愛読したという名著「代表的日本人」(内村鑑三氏)からの一節をご覧下さい↓

「人は誰でも悪名を嫌い、名声を好む。
小善が積もらなければ名はあらわれないが、小人は小善のことを考えない。だが君子は、日々自分に訪れる小善をゆるがせにしない。大善も出会えば行う。ただ求めようとしないだけである。
大善は少なく小善は多い。大善は名声をもたらすが小善は徳をもたらす。世の人は、名を好むために大善を求める。しかしながら名のためになされるならば、いかなる大善も小さくなる。君子は多くの小善から徳をもたらす。
実に徳にまされる善事はない。徳はあらゆる大善の源である」

(君子:指導する大人のこと)

(内村鑑三『代表的日本人』岩波文庫)

実践は何を目指して行うのか・・・その答えは、「積善(せきぜん)」こそが実践の原点です。

「積善の家に必ず余慶あり」
易経にある言葉。善いことを積み重ねていく家には子孫の代まで福が訪れるということ。

社員の積善行動は社会貢献の根幹です。積善という道徳心は、善なる動機で判断し行動するものです。
現場で起こる不祥事は、この善なる判断軸があったら防げた例ばかりです。仕事の合理化のためのマニュアル、規則、ルールのそれ自体が目的となってしまい、「何のための行動か」という動機を問いかけないと判断軸が育ちません。
頭では善で行うべきと分かりながら、実際の行動は善と違うことをする現象は起こるべくして起こります。
善が、利己的な善でなく利他的な善である必要があって、なおかつ社会にとっても善であるという大きな関係性が明確に成り立つ必要があります。

(一部抜粋:弊社冊子『先哲に学ぶ人材育成~十二観抄~』)