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「あるべき論」では意味がない現場のマネジメント(後編)

弊社代表の末永春秀は経営コンサルタントとして、事業・組織・人事をドメインとするコンサルティングに取り組んでいます。今日まで、社員・管理職・経営幹部・トッブマネジメントそれぞれの立場を経験し、そして現在は経営をしています。

経営とコンサルティングの両方の体験で得たものは、「経営が良くなるためには、人材が良くなることが必要であり、人材が良くなるためには、現場の人事マネジメントが良くなる必要がある」というシンプルな原理です。
そして、人も組織も必ず良い方向に変わるという信念で仕事をしています。そのため、コンサルティングテーマの基本には、いつも人材育成の視点があります。

実際のコンサルティングでは、経営と人事に成果が出たことを多くの経営者からご評価いただいています。
例えば、赤字だった企業が理念と業績の意識改革によって難易度の高い課題をクリアするように変化し、黒字になっただけでなく高い成長性が見込めるようになった。あるいは社内での人事戦略の構築と社員の基本行動の教育が連動して意識が変わり、不平不満がなくなり主体性が出てきて売上高と利益が倍増した。など…そうした例が数多くあります。

もちろんこのような成果は、あくまでその企業の内部の主体的な努力によるものであり、そのご支援をさせていただいたに過ぎません。ご評価いただくことはありがたいことでありますが、一方で、このような成果につながったことをどのようにして普遍化するかということをいつも考え続けていました。

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ある日、長時間のコンサルティングの帰りの電車の中で、その日の討議内容を振り返っていた時でした。 ハッとする気づきが起こったのです。

実際のコンサルティングでは、ご依頼は「人事制度改革」という単一テーマであったとしても、それを組み立てる過程では、人事制度を導入し、運用で成果を出すために必要な関連テーマを詳細に討議しています。
それは、経営理念に始まり、人事考課は当然のこと、人材育成、教育研修、組織のあり方、働き方改革、生産性、そして、人としてのあり方などをあらゆる角度から複合的に、本当に真剣に、繰り返し繰り返し議論を戦わせています。

人事という体系的な仕組みを組み立てるのに、これだけ多くの角度から討議をして人事制度に仕上げているのだから、それそのものを普遍化することが必要だ、と気づいたのです。
現在、私がやっているように組織人事を多様な角度から検討して、現場の人事マネジメントの考え方と仕組みを根本的に変えないと、これからの大きな変化に適応できないことが肚に落ちたのです。本当に衝撃的な気づきでした。

それから、コンサルティングで実際にやっていることを組み立て立体化することに不退転の決意で臨みました。しかしこれは思いの外、簡単ではありませんでした。それは、現場の人事について関連するポイントが多すぎるという点や、現場のマネジメントは人もお金も含めてあらゆるものがないもの尽くしの中で取り組んでいるのが実態であり、あるべき論だけでは意味をなさないという点があるからです。
試行錯誤しつつ完成までに随分と葛藤しました。仕上がるまでに時間がかかりましたが、何のために、どの階層に、どのようなフェーズで効果を狙い、それが成果につながるか、というポイントで構築したものが、本書で詳述する「現場の人事デザイン」です。

これは管理者の人事マネジメントをバックアップする仕組みとして考えたものであり、この仕組みを実際に導入することによって、経営改善に確実につながっています。
結果としてわかったことは、現場にある潜在能力を人と仕組みを通じて引き出すことができるという点です。単に成果が出たのではなく、社員が主体的に仕事に向かうようになり、結果として潜在能力が引き出されて成果に結びついたのです。

現代は、経営者や経営幹部が、今まで自分をモチベート(動機付け)してきたファクターでは、管理者すらも、まして社員もモチベートできなくなってきているのが実情です。何のために仕事をするのか、それを語る人たちの目が輝くポイントやタイミングが実に多様になっているとつくづく思います。「管理者になりたくない」という意見は、業種・規模・職種を問わず全国で共通している現象です。これは世代の現象ではなく、経営が招いている課題なのです。
これから大きな変化がいくつも複合的に重なって、現在から2020年代にかけて人事は激動の時代が来ると私は推測しています。そのために、経営の現場で活かせる人事の考え方と仕組みを再構築する必要があります。
これからは、現場で社員に対して行う人事力が鍵です。
会社は考え方と仕組みによって「強くて優しい会社」になれるのです。

(抜粋:末永春秀『強くて優しい会社 ―人と組織の潜在能力を活かす、現場の人事デザイン』)

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