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SUENAGA Blog
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「あるべき論」では意味がない現場のマネジメント(前編)

強い会社とは、社風が伸び伸びとしていて社員の仕事に主体性があり、しっかりした価値観を持ち、結果として利益を出し続け、社会になくてはならない存在となっている会社です。
そして優しい会社とは、人材を大切にし、難しいことも力を合わせて乗り越える一体感があり、働きがいを感じることができる会社。
「強くて優しい会社」とは、規模の大中小を問わず、このような会社と私は考えています。
これを理想と言われればそれまでですが、理想を目指さない限り「強くて優しい会社」には近づけません。

そうなるために、(この本では)経営論として人事を取り上げました。
経営で優先すべきメインテーマはその時々で変わります。現在、人事を取り巻く環境に、「パラダイム・シフト 」と呼ぶべきかつてない大きな変化が起こっています。こうした環境にある今、人事は経営の最優先テーマと言えます。
大きな変化とは、①働く人の価値観の変化、②働き方の変化、③採用の変化、④定着の変化です。

変化の背景にある要因とは?

この4つの変化の背景となる大きな要因は、1つ目は、日本の生産年齢人口(15歳から64歳)が大幅に減少していることです。2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれています。
18歳から60歳までの企業の実質的な採用対象となる人口が減少していて、特にここ近年の減り具合を見ると驚かされます。採用が新時代に入ったのです。総人口が減少する反面で、65歳以上の者が増加することにより高齢化率は上昇を続けています。2036年には、国民の3人に1人が65歳以上の者となる社会が到来すると推計されているのです。さらに2065年には高齢化率(65歳以上人口比率)は38%台となると推計されています。¹
高齢者層の増加は、今後、企業での活かし方が課題となることを示しています。

変化の要因の2つ目は、技術の革新です。
歴史的に技術の革新が産業と社会の変革を牽引してきています。それまでの仕事は減少し、今までなかった新しい仕事が出現し定着しました。現在も、新しく出現する仕事が起こり始めています。現在の仕事がすぐになくなるわけではありませんが、IoTやAIをさまざまな機器に組み入れたテクノロジーのカで、仕事は人間の労力を少なくする方向に動き、知力の比重が高まります。
社会の中で、求人では人が足りないという現象があり、他方ではその仕事に人間の労力がらなくなって人が余るという現象が、同時に起こっています。

3つ目は情報の即時拡散です。
スマートフォンなどで、誰でも、いつでも、「調べる・知る・発信する・共感する」などを瞬時に行うことができるようになりました。リアルとネットが全く別の世界で動いています。そして、情報がネットで即時に拡散し、独り歩きして、良くも悪くも拡がりが加速化します。一人で情報と向き合い自由に発想して、自分の考えを形成する時代です。個化がより一層進むでしょう。

4つ目は、市場と労働力のボーダレス化です。
マーケットがボーダレス化して、売上高の海外比率が大きく高まり、今や日本よりもグローバル・マーケットで企業名が知られている会社は珍しくありません。また社員数が国内よりも海外のほうが多いという現象は一般的になっています。このボーダレス化はマーケットだけではなく、海外の労働力を国内に入れて仕事がようやく成り立っ職種が増えてきていることに通じます。

このような大きな要因が直接・間接に影響して、4つの変化につながっています。この変化は、近年、特に顕著になってきていますが、変化はまだ始まったばかりで、これからますます大きくなっていきます。この4つの変化は、企業の生き残りを左右します。

変化に対する”アプローチ”とは?

4つの変化の一つひとつに対して、それぞれに施策が必要ですが、その施策の前提として、経営幹部および管理者の「人事に関するマネジメント」の意識と仕組みを変えなければいけません。
なぜなら、どんなに優れた施策を実行しても、現場のマネジメントに一定の品質が確保されない限り、行われた施策の効果を出せないからです。そのため、人事に関するマネジメントに、今までとは異なる「現場の視点に基づく仕組み」が必要ではないかという問題意識を強く持ち続けていました。

弊社代表の末永は経営コンサルタントとして、事業・組織・人事をドメインとするコンサルティングに取り組んでいます。今日まで、社員・管理職・経営幹部・トッブマネジメントそれぞれの立場を経験し、そして現在は経営をしています。

経営とコンサルティングの両方の体験で得たものは、「経営が良くなるためには、人材が良くなることが必要であり、人材が良くなるためには、現場の人事マネジメントが良くなる必要がある」というシンプルな原理です。
そして、人も組織も必ず良い方向に変わるという信念で仕事をしています。そのため、コンサルティングテーマの基本には、いつも人材育成の視点があります。

(抜粋:末永春秀『強くて優しい会社 ―人と組織の潜在能力を活かす、現場の人事デザイン』)
全文は、上記リンク先の書籍にてご覧いただけます

 

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引用:¹令和4年版高齢社会白書(内閣府)
その他備考:本記事は「強くて優しい会社」を一部再編集しました。