末永ブログ
中小企業の中途採用がうまくいかない理由|脱・ミスマッチのための採用広報戦略
2026年2月5日

ここ数年、中小企業の経営者や採用担当者と話していると、”肩を落とすような声”をよく耳にします。
「求人を出しても、まったく反応がないんです。」
「応募が来ても、こちらが求める人物像とは全然違うんですよね。」
「せっかく採用できても、数ヶ月で辞めてしまうんだよ。」
本来であれば、採用とは“未来の事業のために投資する前向きな営み”のはずです。しかし、今では多くの中小企業にとって、消耗してしまう領域になりつつあります。
採用がうまくいかない理由の本質は”会社の魅力”が足りていないという単純な理由ではなく、(ましてや「最近の若者は…」という単純な話でもありません。)“会社の良さ”が、候補者にほとんど届いていない”という事実にあります。

求人票の前。面接の前。応募ボタンを押す前。
これら”一歩手前”の段階で、求職者はすでにこう思っています。
「どんな人と働くのかな?あんまり情報がつかめないな」
「ここで働くイメージが持てないな…やめておこう」
「この会社の最新の情報がどこにも載っていないな」
つまり、会社が選ばれていないのではなく、“判断材料がなくて選べない”のです。だから、いくら求人を出しても届かず、採用活動は空回りし続けてしまう。
だからこそ今、中小企業に必要なのは“求人の工夫”だけではなく、「会社の素顔を見せる採用広報」そして「選ばれる理由をつくる採用ブランディング」です。
これは、採用の話を超えて、”経営そのもの”の話でもあります。
1.中小企業の中途採用がうまくいかない本当の理由
採用がうまくいかない時、真っ先に疑われるのは「求人の書き方」や「媒体の選び方」です。
しかし、実際には根深い構造が関わっています。
前述の通り、中途採用の候補者は、応募の前に必ず会社を調べます。
会社のHP、SNSの発信内容、口コミの有無、社内の雰囲気が分かるインタビュー動画、代表メッセージのテキスト・・・
表には見えない“その会社らしさ”まで確認したうえで判断します。ここが分からなければ、どれだけ条件が良くても候補にすら入れません。
つまり今の採用は、“求人を出す前の発信の質”で勝負が決まる時代です。
では、なぜ候補者がそこまで“会社の素顔”を重視するようになったのか。中途採用市場の変化を踏まえると、その理由がよく見えてきます。
転職者の情報収集は、ここ数年で激変しました。
求人媒体や企業HPだけでなく、SNS・口コミ・社員の声が強い影響力を持つようになりました。特に中途人材は、経験を積んでいる分、判断材料が多々あります。
「雰囲気が分からない会社」
「働くイメージが湧かない会社」
「どんな価値観のメンバーが多いのか見えない会社」
こういった企業は、それだけで候補から外れてしまいます。
一方で、大企業ほど知名度に頼れるわけではない中小企業が勝負できるのは、人柄・距離感・ストーリー・働く意味といった“素顔の魅力”です。
ここを発信できた会社は、応募の質が上がり、「ここで働く理由」が候補者の中に自然と育っていきます。(そして採用後のお互いのマッチングミスもなくなります)
ここまでの話を踏まえると、中小企業の中途採用がつまずく理由は、実は”一本の線”でつながっているのです。
・求人票が客観視して書けていない。
・会社の魅力が言語化されていない。
・求める人物像が曖昧で、応募者の質がブレる。
・面接が属人的で、候補者に一貫したメッセージが届かない。
・入社後のギャップが大きく、早期離職につながる。
これらの問題の根底にあるのは、「会社の素顔」と「選ばれる理由」が伝わりきれていないことにあります。
だから応募が来ない。来てもミスマッチが多い。採用しても続かない。
採用広報と採用ブランディングは、この“悪循環を断ち切るための仕組み”でもあります。

2.採用広報と採用ブランディングが、なぜ中途採用で効果があるのか?
採用広報と採用ブランディングは、似ているようで役割が違います。
『採用広報』は、会社の情報・空気感・働く人の姿を“見える化”すること。候補者の不安を消し、興味を引き、検討リストに入れてもらうための入口です。
一方、『採用ブランディング』は、「なぜこの会社で働く価値があるのか」「どんな人と相性が合うのか」「どこへ向かう組織なのか」という“選ばれる理由”を設計する活動です。中途採用では、特にこのブランディング力が問われます。
経験者ほど、入社後の自分をリアルに想像して判断するため、会社側の“理念・価値観の透明度”がダイレクトに評価につながるからです。
つまり採用ブランディングとは、ミスマッチ防止装置でもあり、定着率を上げる仕組みでもあるのです。
3.今日から始められる具体策【5点】
大きな予算も、高度なマーケティングを取り入れることなく、中小企業がまず整えるべきことは、たった5つのことです。

① 働く価値(EVP)を言語化すること。
社員がなぜ働いているのか、どんな瞬間に喜びを感じるのかを丁寧に拾い上げることで、自然と“その会社らしさ”が見えてきます。
② 求める人物像を“価値観”で定義すること。
スキルだけで選ぶ採用は、ミスマッチを生みやすいと言われています。「どんな価値観の人がチームで輝くか」を明確にすることが土台になります。
③ 発信チャネルは、まずはひとつに絞ること。
更新し続けられる場所を1つ作って更新を継続的に行う。小さな積み重ねが、候補者の安心につながります。
④ 社員インタビューで“働く人のイメージ”を見せること。
かっこいい映像や写真でなくても、温度感があるコンテンツのほうが響きます。候補者は、「誰と働くのか」をとても重視しているからです。
⑤ 入社後のギャップをなくすために、期待値を丁寧に伝えること。
中途採用では「何を任されるのか」「どんなチームか」が曖昧だと、必ず不安が残ります。
この5つだけで、中途採用の質は驚くほど変わっていきます。
4.【事例】採用を整えた中小企業の変化
ある企業では、長年「応募ゼロ」「早期離職」の悪循環に悩まされていました。しかし、予算も時間も限られた中で選んだのは、“小さく整える”という選択でした。
・採用ページを徹底的に見直して、企業の想いと今後の方針を正直にメッセージとして掲載
・現場の社員に話を聞き、それぞれの日常をコンテンツ内で紹介
・「こういう人と働きたい」という価値観をより詳細に、明確に言語化
・面接の質問と説明内容を統一し、候補者の理解度を高める
応募数は一気に増えることはありませんでしたが、面接に来る人の質が徐々に変化していき、入社後のギャップが減り、早期離職が目に見えて減少したのです。
“数”ではなく“質”を上げること。そして、その質は、採用広報と採用ブランディングが支えてくれるものです。
5.まとめ|採用は「人材戦略」ではなく「経営戦略」である
採用は「空いた席を埋める作業」ではありません。会社の未来を一緒につくる人を迎える行為です。
中小企業ほど、「経営者の想い」「社員の温度感」「会社のストーリー」という“人の魅力”が武器になります。
それを丁寧に発信し、選ばれる理由をつくること。大きな投資はせずとも小さな一歩を積み重ねることが、採用の悩みを静かにほどいて、企業の未来を支える力になります。
ここまでご覧いただきありがとうございます。
詳しくは「お問合せページ」よりどうぞ。





