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人材育成の動機を育てる

管理者に社員を配置して時間はかかっても一応のところまで育ててくれるという期待ができる管理者が何人いるかということが組織の人材育成の総合力です。なかなか簡単にはいきません。社員と言ってもいろいろな人がいますから簡単ではないのですが、育てることができる人というのは難しい人でも何とか育てようと試行錯誤して努力します。

どうしたらそのような管理者が育つかは、いろいろな考え方があると思います。元々は、経営者ご自身が、その管理者を試行錯誤しながら育ててきているからできていることです。それでは育った管理者が、自分自身にかけられた上司の育成の努力に気づいているかどうか、です。気づいていれば自分も部下育成に努めますが、気づいていない場合は、案外、育成に情熱を注がないものです。このケースは案外に多いです。何故かと言えば、育ったのは自分の努力によるものという考えが支配してしまっているからです。

なぜそうなるか。やはりその管理者自身が、これからどうなっていきたいか、部門をどのようにしていきたいか、という将来への思いが明確にあればあるほど人を育てようとします。管理者として、会社をこのようにしていきたい、そのためには人を育てなければいけない、という育成の動機が明確になければ人を育てる辛抱強さは生まれません。

管理者自身が、そのような育成の動機を持つことができれば自ずと育てる方向に向かいますが、管理者として仕事はできていても、その動機が未成熟な場合は、それを教育することから始めなければいけません。しかし、管理者となってから後は、なかなかこの動機をつくろうとはしないのです。なぜなら、もうこれぐらいでいいかという安定を維持する意識を感じはじめるからです。よっこらしょとなりがちなのです。

この育成の動機が未成熟なケースは、チームの外形の上では育成が熱心に行われているように見えますが、実は、管理者の動機の中身は、育たない者は仕方ないという諦め意識が多くを占めています。

育てることに苦労した管理者ほど育成の動機を持っていますが、どちらかと言えば職務能力中心で育ってきた人は、育成の動機が未成熟の傾向があります。自分は仕事をして力をつけてきたのであって、仕事ができるようになるのは自己責任だから自分も自分で努力したということです。間違っていませんが実態がそうであったかどうかは分かりません。その人の成長の過程は自分ひとりの努力によるものとばかりは断定できないことが多いです。仕事の中で人を育てるわけですから職務能力は当然に必要ですが、人材育成のためには、育成をするという動機形成が必須ですから、それは早め早めに涵養しておく必要があります。

それは分かっていても実際はなかなかです。なぜなら、人を育てるということは面倒な手間暇のかかることです。管理者が、この人はどうすれば育つかということを大きな見地から見る意欲が、育てる手間暇が重い負担を楽しみに変えます。将棋や囲碁のように真剣ではあっても相手の出方を楽しむぐらいのスタンスを持てると育成の愚痴も減ります。                 末永春秀記