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SUENAGA Blog
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【脱・びっくり退職】「会社は人を育てようとしている」と社員は思えているか

上司からの評価が高い社員が、予兆もなく退職すること、いわゆる「びっくり退職」が増加していると言われています。昨今のあらゆる理由から、社員の心境の変化に気づくことが困難になっている状況の影響もあります。
そこで、上司評価と社員のワークメンタリティに着目し、退職の実態を調査した結果からあることが分かりました。

「上司評価が高い(期待通り・期待を超えている)人材」は、年次を重ねるにつれて「仕事への誇りを持てる」ということと「フィードバックと承認がある」ということが、”低下していく”傾向が確認できる。

そしてまた、年次を重ねるにつれて会社や組織に対する「課題感」が高まることも明らかとなった。

引用:(株)リクルートマネジメントソリューションズ「上司評価とワークメンタリティに関する実態調査」https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000363/

「会社は人を育てようとしている」と社員は思えているか

経営理念の浸透は、「お客様を大切に」という点に顕著に表れます。
会社が言っていることとやっていることがあまりにも違うことが多いと、人は”働く意義”を見出しきれなくなるのでモチベーションが下がったり転職に動いたりします。それは仕事のハードさよりも影響が大きいと言えるのです。
またそういう会社には、早晩、人は来なくなってしまいます。新卒で入って来た社員たちが、会社や組織をどのような目で見ているのかを真剣に考えていかないと、人材が育たないばかりか定着もままなりません。
採用と育成の基本原理は同じなのです。

経営における人事の捉え方として、まずは「人を大事にする」という思想が基盤にないまま仕組みづくりをするだけでは、働き方や価値観の変化への対応もおぼつかないどころか、働いている社員が現場でお客様を心から大切にすることはないでしょう。

誰しも周囲から大切にされる存在でありたい

人を育てていく時に、内側だけの論理・目線で経営を組み立てるのではなく、お客様に対するのと同じような目線で社内にも求めていくことは重要です。
お客様もいろいろなので社内を常にお客様目線で見るというわけにはいきませんが、要は社内の透明性を誰がどの目線でつくるかということが大事なのです。その着眼の一つが「お客様目線」ということです。

それはつまり、縁あって共に働いている人について、できる範囲で・可能な限り大切にする行動があれば、働く人にもそれは伝わるものだということです。
その集積が”業績”であるし、お客様からの”総合的な評価”でしょう。
またそれが相互に通じ合う関係もあるでしょうし、残念ながら通じ合えない関係もあるかもしれません。

この働く人を大切にという考え方は、社会全体で見た時には、自分自身が一人の消費者、利用者、顧客になった時の売る立場の人への接し方にも相通じることなのです。

ビジネスであるから、自ずと合理・不合理は存在します。
しかし、その企業の人に対する考え方の実践は、社員の家庭にも取引先にも大きな影響をもたらすということです。

働く人として大切にされ、また大切にするということは、社会の中で人間として認められることそのものです。

誰しも自分が周囲から大切にされ認められる存在でありたいし、自分の家族もそうあって欲しいと願います。
人への接し方にこそ表れるのがその会社の思想や哲学だと思います。

会社が人の営みの集合体である以上、人を大切にするために人事の仕組みを変える必要があります。それは人事のパラダイム・シフトが劇的に起こっていて、従来の仕組みのままでは対応していくのに全く不十分だからです。
そして、「仏つくって魂入れず」 の仕組み論にならないようにするためには人材を高い価値観で捉えることが重要です。

(一部抜粋:『強くて優しい会社―人と組織の潜在能力を活かす、現場の人事デザイン』著者:末永春秀)