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SUENAGA Blog
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【偉人に学ぶ人材育成】”問題”に向き合い飛躍していくためのヒント

悪事をはたらき、 善事をたのしむ

人材育成は、仕事を通じて人間としての成長を導く過程です。
弊社代表は、ある経営者から勧められて池波正太郎の『鬼平犯科帳』 24巻を通読したことがあります。江戸の火付け盗賊改め 長谷川平蔵のリーダーシップと部下のチームワーク、盗賊との駆け引き、そして情と理の織り成す人間模様に時を忘れて没頭しました。
人材育成に大きな行き詰まりを感じていたときでした。

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「人間というやつ、遊びながらはたらく生きものさ、善事をおこないつつ、知らぬうちに悪事をやってのける。
悪事をはたらきつつ、知らず識(し)らず善事をたのしむ。これが人間だわさ」

『鬼平犯科帳』(二十四)文春文庫

人間は、悪事と善事を共に行うという人間の観方に衝撃を感じました。平面的な人材の見方から、立体的な観方ができるきっかけでした。現実から突き出した正しい問題意識には、遠からず必ず答えがあります。

人材育成は、部下の数が多くなればなるほど賞賛よりも”問題”と向き合うことが多くなります。
その問題は、多くは、人間の「性(さが」「業(ごう)」に起因しています。

ヴィクトール・フランクルのドイツ強制収容所の体験記録『夜と霧』があります。人間の「生死を分ける鍵」と「苦悩を超える成長」とは何かを考えさせられる名著です。

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「収容所での過酷な状況の中を生きながらえた人とは、 どのような人だったのでしょうか。それは未来に希望を思い描き、それを見失うことがなかった人です。ほかならぬフランクル自身がそうでした」

「日々の臨床活動の中で人々の苦しみに接していた彼は、自分の著作は苦難と闘っているすべての人から待たれている、だから何としてでもこの本を世に出さねばならない、という使命感に駆られていたのです」

諸富祥彦『フランクル 夜と霧』NHK出版

自分の著作が多くの人を救うことができる、それをやれるのは自分自身だという未来への希望が生死を分けたのです。自分の中に自分の使命を見出して今の過酷な状況を超えて未来への希望につなげることができるかどうか、 そこが生きる意味の根本であるとフランクルの体験が教えています。

そのつどの意味を実現する

人材育成では、その人自身が”固有の使命”を見出す意欲が必要です。
そして、「どんな人生にも意味があり、人間は常に人生から問いかけられている存在である」(前出)と導いています。
人生に問うのではなく、人生から問いかけられているという今までの問いかけを転換させます。

「どこまでも育てる」という努力をするにしても、
「何人も彼から苦悩を取り去ることはできないのである。何人も彼の代わりに苦悩を苦しみ抜くことはできないのである」(フランクル『夜と霧』みすず書房)

人材その人が、自分の問題であり、自分の問題でしかないと自覚させることには大きな意があります。

「人生はいつも、意味を持つことが可能です。ですから、人生がその瞬間その間に、この可能な、たえず変化する意味に満たされるかどうかは、そのつどそのつどまったく私たち次第なのです。
ですから、そのつどそのつどの意味を実現することは、まったく私たちの責任であり、私たちの決断なのです」

フランクル『それでも人生にイエスと言う』春秋社

そのつどつどの意味が、人生を変えていきます。