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経営者におすすめの名著4選|迷い・孤独・判断の重さに効くビジネス書まとめ

経営者におすすめの名著4選|迷い・孤独・判断の重さに効くビジネス書まとめ

「“この判断が正しかったか” と、いつまで経っても後悔することがある。」
「社員が目線を揃えてついてきているか、本心では疑っている自分がいる。」

経営者の方から、こんな声を耳にすることは少なくありません。会社の方向性を決めるたび、誰にも相談できない葛藤と孤独が背中を押す。それでも決断を下し、組織を前へ進めるのが「経営」という仕事です。

実際、帝国データバンクの「全国社長分析2024」によると、経営者の約68%が「精神的なストレスを強く感じる」と回答。その背景には、「先行きの不透明さ」や「人材不足」「価値観の変化」が挙げられます。

そんな中で問われるのは、「経営者として、何を軸に判断するか?」ということです。
別の調査¹によれば、経営者層の約67%が「月に1冊以上本を読む」と回答しています。その理由の上位には、このような回答が並びました。

・「経営判断の視野を広げたい」

・「理念や価値観を再確認したい」

・「他の経営者の思考を学びたい」

実務的なスキルを学ぶ本よりも、“考え方”を磨く本が重視されていることがよく分かります。短期的な経営テクニックより、長期的に企業を導く「哲学」や「人間理解」こそが、経営者にとっての学びの中心にあるのです。

会社を「数字」で語るのか。会社を「理念」で語るのか。
多くの経営者が、朝は数字の世界に追われ、夜は理念の空白に困惑しています。
成長と維持、現場と理念、短期と長期――そのはざまで揺れ動く心理が、経営者にはあるのです。

そこで、今回紹介する4冊は、
①短期的な経営テクニックではなく、“人としての軸”を取り戻すための書であるということ
②数字と理念の揺れの狭間を言語化して”支えになる書であるということ

経営者層から長年支持されてきた4冊を紹介します。経験を積んだ経営者こそ、もう一度読み返す価値があります。


① 『稲盛和夫 経営講演選集 全6巻』

著者:稲盛 和夫 /ダイヤモンド社

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経営哲学を体系的に学び直す、原点の書

京セラ、KDDI、JAL再建──稲盛和夫氏は、数々の成功を収めた日本を代表する経営のカリスマです。しかし本書を手に取ると、「成功物語」というよりもむしろ、「迷いと実践の記録」だとよく分かります。

全6巻には、創業期から成熟期、危機の再建に至るまでの講演やスピーチが体系的に収録されています。そこに一貫して流れているのは、「人として正しいことを貫く」という信念です。

稲盛氏は繰り返しこう語っています。

「利益は、正しい経営の結果として後からついてくるものだ」

”理念や倫理を軽視した”経営は、一時的に成果を上げても長続きしません。
JAL再建時に見せた“現場の声を聞く経営”や“トップ自らの率先垂範”の姿勢は、まさにこの哲学の実践でした。
この講演選集の価値は、単に「稲盛流経営論」を学ぶことではなく、どんな状況でも理念を軸に判断する思考の習慣を身につける点にあります。

企業が揺らぐとき、経営者が孤立するとき、この本は「原点を思い出させてくれる」一冊になると思います。


② 『経営者に贈る5つの質問』

著者:ピーター・ドラッカー/ダイヤモンド社

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仕事と人生を変える、最小にして最強のフレームワーク

皆さんご存知のドラッカー。彼の言葉は、半世紀を経ても決して色あせません。本書はその中でも特に短く、しかし内容は極めて濃密です。

提示される5つの質問は、どれもシンプルです。
1.ミッションは何か?
2.顧客は誰か?
3.顧客にとっての価値は何か?
4.成果は何か?
5.計画は何か?

これらの問いは、企業規模を問わず普遍的に通用します。特に「顧客にとっての価値は何か」という問いは、デジタル化が進む現代にこそ再確認すべきものです。たとえば、プロダクトの機能や価格ではなく、顧客が求める“意味”や“信頼”を再定義できる企業こそが、長期的に成長しています。

ドラッカーの本質は、経営理論の解説ではなく、経営者自身に考えさせる構造にあります。読み進めるうちに、会社の方向性だけでなく、自分自身の仕事観や使命感が問われる。シンプルな構成ながら、読み返すたびに発見がある稀有な一冊です。


③ 『失敗の本質 ─ 日本軍の組織論的研究』

著者:戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎/中央公論新社

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組織の「構造的な失敗」を見抜く力を磨く

1984年の刊行以来、経営者の間で愛読され続ける名著です。日本軍の敗戦を、勇気や根性ではなく組織の意思決定構造から分析したことで注目を集めました。本書が示す「失敗の本質」は、現代の企業組織にも驚くほど重なります。

・上意下達型で現場の意見が反映されない

・方針が抽象的で実行段階に落とせない

・形式的な会議が意思決定を鈍化させる

これらは戦時中の日本軍だけでなく、多くの企業が直面する課題です。特に、経営者が“現場の声”を聞き取れなくなった瞬間、組織の活力は急速に失われます。この本は、そうした構造的な問題を冷静に可視化するための分析視点を与えてくれるのです。

読み進めるほど、自社の組織文化や会議体のあり方を振り返らずにはいられません。「同じ失敗を繰り返さないための知恵書」として、経営者必読です。


④ 『代表的日本人』

著者:内村鑑三、翻訳:鈴木 範久 /岩波文庫(画像の左上の本)

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リーダーの人格を磨くための「静かな名著」

リーダーとしての資質は、知識よりも「人格」に表れます。
DX化・グローバル経済・多様性社会など、スピードが加速する時代だからこそ、経営者に求められているのは“判断力の土台となる人間性”です。

内村鑑三の『代表的日本人』は、明治期に英語で書かれた名著ながら、現代にも通じる普遍性を持ちます。西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の5人を通じて、誠実・謙虚・信義といったリーダーの徳を描いています。

内村はこう言います。

「己を修めずして、何を治めることができようか」

企業経営においても同じです。
どれだけ経営戦略を学んでも、トップに信頼がなければ組織は動きません。
本書は、「経営者である前に、一人の人間であること」を思い出させてくれます。”日々の意思決定の中で、人としての原点を見失いそうなとき”そんな時にこそ開きたい一冊です。

(補足)

原典をもとにして、多くの出版社から編集されて出ています。
原典は、1894年(明治27年)1908年(明治41年)と二度にわたり、 日本の文化や精神を海外に紹介するため、内村鑑三が英語で発表した「原題:Representative Men of Japan / Japan and the Japanese」です。


経営者がやるべき最良の「自己点検」

経営者にとって、読書は情報収集の手段ではなく、自分自身を点検する時間です。AIやデータ分析では導き出せない、人間としての判断や直感を磨くには、時間をかけて思考を深めるしかありません。

PRESIDENT誌(2023年)による調査では、上場企業の経営者のうち約72%が「紙の本で読むことに意味がある」と回答しています。その理由の多くが、「考える時間が生まれるから」というものでした。
つまり、経営者にとって読書とは、立ち止まることで前に進むための行為なのです。
今回紹介した4冊は、4つの観点から、経営者の判断軸を整えてくれます。

・稲盛和夫:理念と経営哲学を磨く

・ドラッカー:経営の原点を問い直す

・失敗の本質:組織の構造を理解する

・内村鑑三:リーダーとしての人格を深める

短期的な業績を追う時代だからこそ、こうした「普遍的な思考書」を読み続ける経営者こそが、組織の持続性をつくり出していくのではないでしょうか。


引用 ¹:株式会社壺中天が2024年に実施した調査(PRTIMES掲載)

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